とてもおもしろかったので、感想を書きます!
イギリスの中年の婦人が主人公。
結婚してバグダッドに暮らす末の娘が病気になったので、お見舞いに行く。
世話を焼き、部屋を片付け、娘と婿に「もっといて」と引き止められたけど、夫が家でさびしいだろうから、と帰ることにする。
帰りの途中、女学校時代の友人に会う。
昔は美人でユーモアがあり魅力的だったのに、落ちぶれている…
それと引き換え、自分はまだ若く見えるし、美しい。
声をかけられ、あの娘さんのお母さんってあなただったの。
あんなに若く結婚したから、家が嫌で嫌で飛び出したんだと思っていたけど、あなたが親なら勘違いね」と言われる。
なんのこと?と不愉快になり、別れ、トルコ経由でイギリスに帰るために駅に向かう。
そうしたら、天候のため砂漠の真ん中の宿で何日も足止めになる。
本も読み終わり、やることもなく、ありあまる時間の中で家族のことを考えはじめる。
私はよい妻、よい母、夫からは愛され、子どもからは感謝されている。
褒められるのは悪い気持ちがしない。
と言う風に考えるが、しばらく砂漠にひとりでいるうちに、ちろちろとトカゲのようにいつもとは違う思考が入り込んでくる。
ひょっとしてあの時のあのできごとは…
あの時このことは…
結構序盤から、「あー、こういうことかな」みたいに真相に気付いてしまうんだけど、気付いてからも女性の思考パターンというか、いろいろな気付きにいたるまでの途切れ途切れの道を探りながら歩くような雰囲気の文章がすごくおもしろい。
あと、オリエンタルな描写もおもしろい。
アガサ・クリスティってすごい。
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